劇団とっても便利 オリジナルミュージカル
『CHARLIE』
場所:ひらかたパーク イベントホール2(京阪電車・枚方公園駅下車)
日程:2000年2月5日(土)15:00
      2月6日(日)12:00/15:00

概要
 チャップリンを題材にミュージカルを作ってみないかと言われた、あるミュージカル作家。彼はこの偉大な芸術家をモチーフに、ミュージカルのアイデアを練りはじめるが・・・。20世紀最大の芸術家チャーリー・チャップリン。彼の残した映画、彼が生きた時代とはどのようなものだったのか。20世紀最後の年に、劇団とっても便利がおくる『CHARLIE』は、子供から大人まで楽しめて、20世紀とはどういう時代だったかを振り返るミュージカルです。
 99年2月に第一回目が行われて、大好評を博した「ミュージカル in ひらパー」。99年に引き続き、若者を中心にただいま人気急上昇中の「劇団とっても便利」が、今年も、日本の新しいミュージカルをひらかたパークで披露。
the Staff
作曲・脚本・演出=大野裕之
振付=ますだ美季、マキタ・キャロット
ピアノ演奏・アレンジ=井上真由美
照明=薄井めぐむ
舞台監督・音響=北村アリコ、かもちゃん、GREY
美術=松井昭子、谷口千春 その他。
the Company
出演=林美織、山下多恵子、セミマール秋葉、服部有希、中山拓、森田さやか、マキタ・キャロット、八田幸恵、ますだ美季、後藤裕子、大野裕之
 99年に引き続きひらかたパークで京阪電鉄主催のミュージカル公演が行われた。子供から大人まで楽しめる作品というのは、実は一番難しく、毎回知恵をしぼる。「チャップリンを題材にミュージカルを作ってみないかと言われた、あるミュージカル作家」とは、大野裕之のことで、実際にあるプロデューサーからそういう話があったことを思い出し、それへの返事としてこの作品を作るに至った。子供向けには、チャップリンの伝記ミュージカルとして、大人向けには「チャップリンを題材にしたミュージカルなんて無理だし、作らなくてもいいんだ」ということを言いたかった。
 パンフレットに、「この作品『CHARLIE』は、チャップリンの伝記ミュージカルでもなければ、その偉大さを語る物語でもありません。むしろ、これは作品ですらないのです。僕は大学で映画を研究していることから、よく『どうして映画をとらないのですか』と聞かれます。冗談じゃない。映画はチャップリンがすべて撮ってしまったじゃないですか。この期に及んで映画を撮ろうと考えるほど野蛮ではありません。(・・・)だから、僕はこのささやかな小品をチャップリンへのオマージュとします。語るべきことはただ一つ。チャップリンは偉大である、それで十分ではないか。・・あとは沈黙してもう一度映画を見直すことにします。」と書いた。
 言いたいことはこれに尽きている。僕達は別に天才ではないのだから、本物の天才の前では謙虚でありたい。アンケートは、「私も家に帰って、もういちどチャップリンを見てみます」というのが多かった。作り手として、非常に嬉しいレスポンスだった。
 
 ショー自体の見せ場としては、冒頭とラストで、井上真由美が弾く「テリーのテーマ」(チャップリンの『ライムライト』の有名な主題曲で、チャップリン自身が作曲した)にのせて、林美織がバレエを踊るシーンがある。井上さんには、お忙しいなかピアノ演奏で参加していただいて、本当に感謝している。前年の99年のひらかたパーク公演『Cafe Happy Marriage』を見て、劇団とっても便利に入団したという林は、その同じ舞台で難しいバレエを優雅に踊った。チャーリー役を服部有希が苦労しながらも演じきり、中山拓も初のソロ曲を歌うなど、99年度の新人達の成長が見られる舞台となった。
 曲は、急遽3曲作り、もう一曲は、かつて初演版の『夕立の男女』(1995年)のときに、初稿の脚本では入っていたが、上演時にカットされた曲を5年振りによみがえらせた。演出は、チャップリン映画の映像をビデオ・プロジェクターで映し、引用するというものだった。断片的に引用されただけでも、その効果 は絶大で、あらためてチャップリン映画の映像の強さというものを思い知った。
 
*淀川長治氏のインタビューを含めた、とっても便利出版部『チャップリンのために』は2000年9月10日に発刊予定です。


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